THE DEPTHS、他

仕事帰りにイメージフォーラム濱口竜介の『THE DEPTHS』を観てきました。他の濱口作品に比べるとそこまでという感じではあったけど色々なことをやっているなと楽しめた。物語の重要な転換ともなる写真が撮られる披露宴会場前での長回し、人とぶつかり風船が飛びジャンプしてそれを掴み、と思うと車の扉がバタンと閉まる音がしてカメラがその方向にパンして行くと女性2人を乗せたタクシーが呆気なくその場を去っていくという、石田法嗣の写真が撮られるまでの間にこれでもかとアクションが繰り広げられるけど、いかんせん通りが狭いからか窮屈さが否めなかった。

 

ここよりかは米村亮太郎が石田法嗣を連れ出す逃げる夜の場面での大きな道路を使ってグルッと一回転するアクションの方が贅沢さがあり好みだった。あの画面奥に佇む団地のような建物をノワール映画かのように大きく覆う木の影が忘れがたい。あとは映画で表現する「(音楽でも絵でも何にせよ)これは凄い。。」みたいなのは失敗するものだと思ってて、この映画でも出てくる「魅力的な男娼」みたいなのもあまり納得できるものには見えなかったけど、石田法嗣が頭を丸めるとむき出しになってくるドゥニ・ラヴァン感みたいなのはそこから上手く回避できてるのかなと思った。っていうかこれがやりたかったのかな?という感じ。

 

他には『ヴェノム』を観た。過去作も気に入ってるルーベン・フライシャーの新作は概ね満足できるものだったかなとは思うけどやっぱりちょっと思うところはある。同じフライシャーの映画を思わせる冒頭のニュース映像なんかは丁度良いけど、その後ずるずる続くトム・ハーディーの人物像描写が結構続く展開だったり、これは観る側の問題かもしれないけど何だか何やってるのかイマイチ把握できないアクション設計だったり、研究所に忍び込むシーンが呆気なかったり。まあギャグは小気味良いし良かったのでは。

 

それよりかは全く期待していなかったフークアの『イコライザー2』の方が何となく来るものがあった。例のお爺さんを迎えに行く海沿いの町での天候が始めの方から強風気味だったし、それっぽい説明もあったけどラストにあんな馬鹿馬鹿しい決闘シーンを放り込んでくるのには何だか感心してしまった。途中の殺しがダラダラしてたりってのもあるけどまあフークアの映画って昔からちょっと甘いところあったしね。

 

かなり前にCDを買ってたけど開けてなかった奈良のビートメイカー Yotaroのビート集をヘビロテしてるけどかなり良い。去年出てるCozmik Rawsなんかは冒頭からコンプがパツパツにかかったビートが良い感じだし、ベースの乗せ方ひとつでここまでグルーブが出るのかと勉強になることばかり。


Yotaro - Cozmik Raws [Full BeatTape]